2023年8月16日
「くもをさがす」
「くもをさがす」は、小説家の西加奈子さん自身の体験をもとに綴ったノンフィクション作品です。
カナダで乳がんになり、治療をしながらの出来事が描かれています。
本作品は、病気の現場から治療までの8か月間を描いたエッセイ的な形式で構成されています。
西さんは自分の感情や体調の変化を素直に表現し、
周りの人たちの支えや暖かさによって救われる気持ちを描かれています。
病気に立ち向かう中で、自分自身の内面を深く見つめ直し、
人生に対して新たな気づきを得た様子が印象的です。
あなた、に向けられた言葉なので、読んでいて心が揺さぶられる一冊。
くもに刺されて病院に行き、そこでガンが発覚。。。
カナダでの治療に戸惑いながらも、といういかにも暗い題材なのですが、
西さんが書くと、こんなにも可笑しくて希望が持てる話になるのか、と強く感じました。
普段、死というものを実感することはほぼ無い生活ですが、
それはいつかくる死が怖いという裏返しかもしれません。
でもその気持ちは皆一緒で、共感してもらえるものなのだと、
西さんに教えてもらったような気持ちです。
今日も皆のおかげで一日を生きることができている。
そんな暖かい気持ちになれる作品でした。